老人が自宅をゴミ屋敷化してしまう理由とは?周囲のサポートが必要

ゴミ屋敷の住人には、老人が多いと言われます。年を取ると掃除が大変になり、ゴミを溜め込んでしまうことがあるためです。認知症などの病気が関わっていることもあり、周囲のサポートも欠かせません。改善を期待する場合、どうしたらいいかもご紹介します。

本記事の監修者

遺品整理士:目黒 大智


一般社団法人遺品整理士認定協会 認定遺品整理士(第 IS26076号) 年間1000件以上の不用品回収、遺品整理案件に携わる。「遺品整理・不用品回収の片付け業者 CLEAR-クリア-」代表取締役。詳しいプロフィール
目次

ゴミ屋敷増加の理由は高齢化?

ゴミ屋敷が増加している理由は、人口の高齢化であることが考えられます。年を取り体力がなくなると、自然に掃除ができなくなります。重い物を運べなくなり、掃除を続けられる時間も短くなります。

体力だけでなく、心理面でも気力の低下によりやる気が起きないこともあるでしょう。

また、認知症などの病気で掃除ができなくなることもあります。認知症を患うと、本来はきちんと片付ける人でも思うようにできません。認知症が原因なら、早期に周囲のサポートが必要です。

昔は3世代が同じ家に住むことも多く、高齢者が掃除できなくても問題はそれほどありませんでしたが、核家族化が進むにつれて、ゴミ屋敷になるケースも増えています。

住人の半数が老人と考えられている

ゴミ屋敷に住んでいる住人の半数は、老人と考えられています。ただ、自治体がゴミ屋敷の住人をすべて把握しているわけではありません。

ゴミ屋敷を清掃することになった業者や、強制執行が行われた家の住人に高齢者が多いため、半数程度は老人であると言われています。

ゴミ屋敷の多くは広い持ち家で、家を保有している人の年齢層からも高齢者が多いと考えられるでしょう。

今後さらに増加していく恐れがある

日本は少子化が進み、今後65歳以上の世帯もどんどん増えていくことが予想されます。

寿命も長くなり、生活する上で掃除をする気力がわかない高齢者も増えていくでしょう。広い家の管理が難しくなることも予想されます。

ゴミ屋敷が増加すると近隣にも迷惑がかかるため、近親者や地域のつながりによるサポートが大切です。

ゴミ屋敷は地域社会の問題

ゴミ屋敷は住んでいる本人やその家族だけの問題ではありません。地域全体の問題として、対策も練られています。

ゴミ屋敷は不衛生な環境で、周囲にニオイや景観悪化などの問題を生じさせます。ゴミが増えていくと、家だけではなく道路にあふれることもあるでしょう。

あふれたゴミは、火災のリスクも増加させます。

不衛生な環境

ゴミを捨てずに溜めておくと、衛生的によくありません。生ゴミが腐ると、虫や動物も寄ってきます。

生ゴミだけは捨てているとしても、ホコリやカビなども人体にとって有害物質です。放置したゴミにはホコリが溜まり、目に見えないダニや害虫が発生するなどすれば、アレルギーの危険も高まります。

ゴミが道路にあふれる事例も

ゴミ屋敷の住人は、ゴミを捨てることができません。住んでいる期間が長ければ長いほど、ゴミは増えていきます。

家の敷地内だけで収まっている間はともかく、道路にあふれてしまうと通行の妨げになるなど、周辺住民にとっても無視できない問題です。実際に強制執行となったゴミ屋敷では、道路までゴミがあふれ出していました。何度片付けてもゴミが持ち込まれ、結局は火災につながるなど問題も起きています。

道路のゴミは、行政だけでなく近隣住民も処分できます。ゴミ屋敷対策の条例や法律が制定されてからは、家の敷地内であってもゴミだらけにしておくことは許されません。

火災のリスクが上がる

家にゴミがあふれていると、火災のリスクが増加します。物が燃えやすい環境では、ちょっとした火の不始末が大惨事を引き起こすためです。

ゴミが屋敷に住んでいても気にしない住人もいますが、火災が起これば自分だけでなく周囲も巻き込んでしまいます。状況によっては、死亡者が出ることも考えられるでしょう。

地域住民にとっても、火災のリスクの高いゴミ屋敷は心配のタネになることは明白です。

他人が解決することは難しい

ゴミ屋敷の改善は、本人の意識にかかっています。もし他人が勝手に片付けたとしても、意識を帰る事なく毎日使っていれば家はまた汚れてしまうためです。それどころか、財産を処分されたと訴えられることもあるでしょう。

トラブルにつながらないためには、行政や住人の身内などに任せることが基本です。どうしても悪臭や景観悪化が耐えられず、すぐに対応が必要なら、引っ越しなども検討しなければならなくなります。

他人の財産を勝手に処分できない

他人が勝手に私有財産である物を処分することはできません。隣人がゴミを捨てることは難しいでしょう。個人の所有物である物は、本人が主張すれば『ゴミ』でも大切な『物』と同じ扱いになります。また、もし大切な品が混ざっていれば、弁償しなければならなくなります。

ゴミ屋敷の周囲を清掃をしたばかりに訴えられるなど、気持ちのいいものではないでしょう。

近くにゴミ屋敷があるとしても、片付けに着手する前に、まずは地域の相談窓口に掛け合うことです。自治体と協力することで、改善に向かうことも可能になります。

ご近所トラブルに繋がる

ゴミ屋敷の住人であっても、近隣の他人が口を出せば、トラブルに発展することもあるでしょう。迷惑していることを伝えたい気持ちがあっても、まずは自治体へ相談しましょう。

住人の身内と親しいならコミュニケーションも取れますが、関係のない他人が直接口を挟むのはトラブルの元になるので、焦らず根気よく対処することが肝心です。

自治体の力を借りよう

自治体の力を借りれば、周囲の人でもゴミ屋敷改善に向けてアプローチできます。何らかの対応をしてもらえないか、相談してみましょう。周辺住民が困るほどのゴミ屋敷であれば自治体側も動いてくれる可能性があります。

自治体によっては個別にゴミ屋敷対策に関する条例を施行していることがあるため、該当している場合はスムーズに話が進むでしょう。

ゴミ屋敷への対応を相談

自治体の窓口にゴミ屋敷への対応を相談すれば、担当者が対策してくれるでしょう。住人への指導やゴミを片付けるよう促すなど、自治体によって対策方法はさまざまです。

ただし、すべてのケースで対応してくれるとは限りません。そのため、迷惑を被っているのが自分だけではないことを、周辺住民と意見をまとめて働きかけることが重要です。実際に周辺の環境を悪くしていると判断されれば、自治体も動いてくれます。

住人の生活環境を維持する義務がある

自治体には、住人の生活環境を維持する義務があります。ひどい悪臭や害虫の増加、道にゴミがあふれているなど、どうすることもできないトラブルがあれば相談してみましょう。

個人間のトラブルと判断されない限り対応してくれるでしょう。特に、ゴミ屋敷があることで周辺住民のほとんどが迷惑しているような場合は、自治体が対策をとってくれる可能性も高いでしょう。

ゴミ屋敷対策の条例を施行する自治体も

ゴミ屋敷対策の条例を施行する自治体なら、さらに対応も早くなります。ゴミ屋敷に該当する条件が定められていることもあるため、まずは条例を確認しておきましょう。

近くのゴミ屋敷が条例に抵触するなら、自治体側から住人に通告があります。何度か本人と話をしてもゴミを片付けてくれない場合は条例違反となり、強制的にゴミの処分に向けて動き出すでしょう。

まとめ

日本では高齢化が進み、これからゴミ屋敷の数は増えていくと考えられます。年を取るとどうしても片付ける体力が低下するために、これは避けられないでしょう。

近隣にゴミ屋敷がある場合は、自治体に相談することで対策を取ってもらえます。しかし、基本的には住人が変わらなければ改善が難しいため、身内のサポートも大切です。

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