ゴミ屋敷になるのは病気のせいかも?原因の特定が脱出の第一歩

ゴミ屋敷になる原因には、精神的な病気が隠れている場合があります。このような人はゴミ屋敷を片付けても再びゴミ屋敷化する可能性が高く、片付けだけでは根本的な解決にはなりません。ゴミ屋敷になる原因やリスク、対処方法を紹介します。

本記事の監修者

遺品整理士:目黒 大智


一般社団法人遺品整理士認定協会 認定遺品整理士(第 IS26076号) 年間1000件以上の不用品回収、遺品整理案件に携わる。「遺品整理・不用品回収の片付け業者 CLEAR-クリア-」代表取締役。詳しいプロフィール
目次

家をゴミ屋敷にしてしまう住人の傾向は?

家がゴミ屋敷になる人は、片付けが苦手だったり時間が無かったりと様々な原因が考えられます。ただし中には精神的な疾患が原因で片付け出来ないケースもあるため、『片付けできない=怠惰』と安易に考えてはいけません。
家がゴミ屋敷になる人にはどのような傾向があるのでしょうか。

片付けが苦手

まず多いのが、もともと片付けが得意ではない人です。例えば子供の頃から汚い部屋になれていた人は、片付けなければという意識が働きません。汚い部屋を見てもどのように片付ければよいかわからないため、どんどん部屋が汚くなっていくのです。

また、性格的にのんびりしている人も、「すぐに片付けなければ」と感じません。今度、今度と先延ばしにしていれば、やがては手に負えないほどのゴミ屋敷となるでしょう。

忙しく片付ける余裕がない

毎日仕事に追われて忙しくしている人は、家を片付ける余裕がありません。そもそも家にいる時間が少ないため、片付けにまで気が回らないのが現状です。このような人は、たとえ休みがあったとしても、体力回復やリフレッシュに時間を使います。

「掃除や片付けするくらいならゆっくり休みたい」と考えてしまうため、片付けにとりかかるのは困難でしょう。
忙しすぎる人は、他にやりたいこと・大切なことがあるため、片付けの優先順位が低くなってしまうのです。

病気の可能性もある

片付けに必要なやる気も時間もあるのに片付けられない人は、精神的な疾患が潜んでいるかもしれません。

片付けをするには体力は勿論ですが、作業全体を俯瞰して段取りしたり、やる気を維持したりといった『気力』も必要です。ところが、うつ病などを患っている場合、片付けに向かう気力は全く湧いてこないでしょう。

このほか、発達障害、認知症などを患っている人も片付けは困難です。それぞれ症状は異なりますが、「おかしい」と感じることがあれば、専門医に相談した方がよいかもしれません。

片付けられないのは病気のせいかも

前述したとおり、片付け出来ない原因の1つには精神疾患があります。それぞれの症状について、詳しく紹介します。

ADHDなど発達障害

ADHDは『注意欠陥多動性障害』とも呼ばれる発達障害の1つです。症状としては多動、衝動的、注意力・集中力の欠如が挙げられます。ADHDを発症した人は、片付けの途中で他のことを始めたり、途中で飽きてしまったりしやすいため、完遂が困難です。

また、計画的に物事を考えるのも苦手なため、適切に収納場所を決めたり時間や場所を決めて掃除したりするのも得意ではありません。『すぐに散らかしてしまうが、片付けるのは苦手』なため、部屋はすぐに汚くなります。

発達障害が原因でゴミ屋敷化している場合は、個人での解決は困難でしょう。自覚症状のある人、周囲から指摘されたことのある人は、速やかに専門医に相談することをおすすめします。

うつ病やセルフネグレクトなど精神障害

うつ病、セルフネグレクトを発症している人は、片付けに向かう気力がありません。

うつ病とは、脳のエネルギーが低下した状態で、憂鬱な気分が続き、物事に対する意欲が低下する病気です。症状が軽度なら日常生活に支障は出ませんが、重度になると仕事や日常生活が困難になります。部屋を片付けよう、綺麗にしようという前向きな気持ちが無くなるため、ゴミ屋敷になるまでにそう時間はかかりません。

また、セルフネグレクトは『自己虐待』とも呼ばれ、自己を全く顧みなくなる病気です。どんなに生活環境や栄養状態が悪化しても、それを改善しようという気力がわかないため、ゴミ屋敷化も止められません。

どちらの病気も原因は心にあるため、ゴミ屋敷化を食い止めるには心のケアが必要になるでしょう。

強迫性障害

強迫性障害とは、些細なことが気にかかり、分かっていながら何度も同じ確認をしてしまう病気です。一度頭に浮かぶと強い不安を伴うため、日常生活にも支障が出てきます。例えば、手に汚い物が付いたと感じて何時間も手洗いをしたり、戸締りが気になって何度も何度も確認したりするなどあれば、強迫性障害かもしれません。

強迫性障害の症状の中には、物へ異常なまでに執着心を持つケースがあります。このような人は物を捨てることに不安を覚えるため、たとえ明らかなゴミでも捨てられません。やがてはゴミが家の大半を占めるようになり、ゴミ屋敷が完成するのです。

強迫性障害の場合は、薬での治療が可能です。まずは専門医に相談し、具体的な処置を求めましょう。

ゴミ屋敷で暮らすことで病気になる場合も

不衛生な状態のゴミ屋敷では、アレルギーや感染症を発症するリスクが高くなります。また、汚いゴミに囲まれた暮らしは、精神にもよいとは言えません。ゴミ屋敷での病気リスクについて紹介します。

アレルギーや感染症のリスク

ゴミ屋敷で懸念されるのが、ハウスダストによるアレルギーや害虫による感染症です。ハウスダストと目に見えないほどの小さなゴミで、ホコリ、人間のフケやアカ、ダニや害虫の糞、死骸、繊維くず、細菌、カビなどあらゆるものを含んでいます。

ゴミ屋敷でくしゃみ、目のかゆみ、皮膚の炎症などがあれば要注意です。症状が進行すれば喘息や呼吸困難、アトピー性皮膚炎などを発症するかもしれません。

また、衛生状態の悪いゴミ屋敷では、害虫の大量発生も懸念されます。ハエやゴキブリなどは様々なウィルスや細菌を身にまとっており、大変危険です。ハエやゴキブリが持つ大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、ダニが持つダニ媒介性脳炎などは、症状がひどくなると、死に至ることさえあります。

精神状態が悪化する

ゴミに囲まれたゴミ屋敷で暮らし続けると、イライラしたり精神が不安定になったりしがちです。家に帰ってもゴミだらけでは、気分が休まりません。欲しい物、必要な物はすぐでてこないため、ストレスもたまるでしょう。

また、ゴミを見る度に「自分は掃除もできないダメ人間だ」と思わされるため、自己肯定感も低くなります。この状態が長く続けば、精神は大きなダメージをうけ、うつ状態に近づいてしまうのです。

原因の特定と治療が重要

どうしても片付けられない人は、片付けられない原因を特定し、何かの疾患がある場合は治療を受けることが重要です。精神疾患がある場合、片付けが出来ないというのは症状の1つにすぎません。まずは根本的な部分を改善しないことには、片付けできるようにはならないでしょう。

片付けをしても元に戻ってしまう

片付けできない原因が心にある場合、どんなに綺麗に片付けを終えても、またそのうちゴミ屋敷に戻る確率は高いしょう。

ゴミ屋敷の改善は、1度片付けたら終わりというわけではありません。継続して掃除や片付けを行い、物を減らしたり捨てたりすることが重要なのです。もしも片付ける気力が湧いてこないままだったり、物を溜め込むのをやめられなかったりするならば、再びゴミ屋敷に戻るのは目に見えています。

まずはどんな病気が原因でゴミ屋敷化してしまうのかをつきとめ、適切な治療を受けることが重要です。

問題点を自覚し改善策を実行する

自分が発達障害かもしれない、という不安のある人は、簡単なチェックテストを受けてみることをおすすめします。

軽度の発達障害は当事者も気づいていない場合が多く、なかなか発見されません。テストを受けて発達障害であることがわかれば、片付け出来ない原因を特定でき、改善策を講じる事もできるでしょう。

発達障害の場合、本人のやる気だけではゴミ屋敷の改善は困難です。周囲の助言を得たり片付けに明確なルールを設けたりなどして、片付けの負担を軽減できる方法を考えましょう

治療やカウンセリングを受ける

ADHDの治療には、薬物療法とカウンセリングなどの認知行動療法の2つが採用されます。

薬物療法では神経伝達物質の働きを整える薬が処方されるケースがほとんどですが、これだけではADHD特有の『計画が立てられない』『整理整頓できない』という症状を改善できません。そのため、認知によって考え方や行動を正す認知行動療法が平行して行われるのです。

双方の治療を受けることで、ADHDの症状はかなり改善されます。ゴミ屋敷に悩んでいる人は、まずはカウンセリングから始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

家がゴミ屋敷にまでなる人は、『片付けが苦手』という領域を超えています。様々な精神疾患がゴミ屋敷となって顕在化していることが考えられるため、まずは専門医に相談するとよいでしょう。

ゴミ屋敷は健康被害のほか精神的にも大きなダメージを与えます。なるべく早く片付けと清掃を実行し、快適な暮らしを取り戻しましょう。

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