特殊清掃後のリフォームは必要?費用相場と信頼できる業者の選び方

特殊清掃を行ったあとでも、臭いや汚れが建物の内部に残ってしまうことがあります。とくに体液や腐敗による汚染は、表面だけでなく床下や配管まで広がっていることが多く、再び臭いが発生する原因になります。そのため、清掃に加えてリフォームが必要になるケースも少なくありません。

本記事では、特殊清掃後にリフォームが必要な理由や費用の目安、信頼できる業者の選び方などを分かりやすく解説いたします。

本記事の監修者

遺品整理士:目黒 大智


一般社団法人遺品整理士認定協会 認定遺品整理士(第 IS26076号) 年間1000件以上の不用品回収、遺品整理案件に携わる。「遺品整理・不用品回収の片付け業者 CLEAR-クリア-」代表取締役。詳しいプロフィール
目次

特殊清掃後にリフォームが必要になる理由

特殊清掃を行ったあとでも、室内に臭いや汚れが残ることがあります。体液や血液が床や壁の内部まで染み込んでいる場合、見た目はきれいでも再び臭いが発生するおそれがあります。そのため、完全な回復にはリフォームが必要になることがあります。

臭いや汚れが残る構造的な問題とは

特殊清掃を行っても、構造的な問題によって臭いや汚れが残るケースがあります。たとえば、体液や血液がフローリングの隙間や壁の内側に染み込んでいると、表面だけを掃除しても時間が経つと再び臭いが発生します。このような場合は、床材や壁材をはがし、内部まできれいにしなければ完全には解決しません。

さらに、木材や断熱材に臭いや菌がしみついてしまうと、建材自体を交換する必要が出てきます。エアコンや換気口などを通じて臭いが部屋全体に広がることもあるため、部分的な清掃では不十分なこともあります。見た目だけでは分からない内部の汚染は、再発の原因にもなります。したがって、特殊清掃後に異臭が残る場合は、構造部分のリフォームもあわせて検討すべきです。

衛生面・感染防止の観点から見た必要性

特殊清掃後にリフォームが必要になるもう一つの理由は、衛生面の確保と感染防止です。死後時間が経過した場合、体液や血液には細菌やウイルスが含まれていることがあり、これらが床材や壁材に染み込んでいると、表面的な清掃では対応しきれません。そのまま放置すると、カビやバクテリアが繁殖し、健康に悪影響を及ぼすおそれがあります。

特に小さなお子様や高齢者が生活する場所では、衛生状態を確実に改善することが必要です。たとえば、リビングや寝室など長時間過ごす空間に汚染が残っていれば、生活そのものがリスクになります。リフォームによって建材ごと交換することで、住環境を衛生的に保つことができ、精神的な安心にもつながります。目に見えない菌への対策としても有効です。

リフォームが必要になる特殊清掃の具体的なケース

特殊清掃後にリフォームが必要になるのは、単に見た目が悪いという理由だけではありません。臭いや汚れが建材にまでしみ込んでいる場合や、害虫・腐敗によって建物そのものが傷んでいることもあります。ここでは、よくある3つの具体的なケースをご紹介します。

壁や床に体液や血液が染み込んでいる場合

故人が亡くなった場所では、体液や血液が床や壁に染み込んでしまうことがあります。特に死後の発見が遅れた場合、体液がフローリングの隙間や壁の裏側にまで浸透するため、表面的な清掃では完全に除去することができません。このような場合は、汚染された建材を剥がして交換するリフォームが必要です。放置すると腐敗臭が再び出てくる可能性があるため、消臭や除菌だけで済ませるのは危険です。

たとえばフローリングの張り替えや、石膏ボードの取り替えなどが行われます。さらに、断熱材や下地まで影響が及んでいることもあり、建物の一部を解体することもあります。リフォームを適切に行うことで、再発防止や衛生管理にもつながり、安心して暮らせる空間を取り戻すことができます。

浴室や配管に臭気や汚れが残る場合

特殊清掃では、浴室や配管にまで臭いや汚れが広がっているケースもあります。たとえば、浴槽内で亡くなられた場合、体液が排水口から配管へ流れ込み、そこに臭いがこびりついてしまうことがあります。

さらに、配管内部で細菌が繁殖し、継続的に臭気を放つこともあるため、表面的な洗浄では対処しきれません。このような場合、浴槽の取り外しや配管の交換といったリフォームが必要になります。床下の配管まで汚染が及んでいる場合には、床材をはがしての工事になることもあります。

また、悪臭が室内に広がることで、壁紙や天井材まで交換が必要になることもあります。専門業者による現地調査と適切な判断のもとで、必要な範囲のリフォームを行うことが重要です。

害虫・腐敗により建材の劣化が進行した場合

特殊清掃の現場では、腐敗に伴って発生するウジやハエなどの害虫が建材に被害を与えるケースもあります。死後時間が長く経過していると、体液や血液に集まった害虫が床下や壁の内部に入り込み、柱や断熱材などを汚染・劣化させることがあります。さらに、湿気や腐敗臭によってカビが発生し、建物の構造にまでダメージが及ぶこともあるため、部分的な修繕では対応しきれません。

このような場合は、被害範囲を特定して、必要に応じて壁の中の木材や断熱材まで交換するリフォームが求められます。劣化が進行すると耐震性にも影響する可能性があるため、放置は危険です。建物の寿命や安全性を保つためにも、早期に専門業者による対応を行うことが大切です。

特殊清掃とリフォームの違いと連携の必要性

特殊清掃とリフォームは、それぞれ異なる役割を持ちますが、現場の状態によっては連携して対応する必要があります。清掃だけでは解決できない問題がある場合、リフォームが補完的な役割を果たすことになります。ここではその違いや、連携が求められる理由を解説します。

清掃とリフォーム、それぞれの役割とは

特殊清掃とリフォームは、似ているようで目的がまったく異なります。特殊清掃は、主に死後に残った体液や臭い、害虫などを取り除き、現場を衛生的に戻すことが目的です。一方でリフォームは、汚れや劣化によって使えなくなった建材や設備を新しくすることが目的です。たとえば、清掃では消臭スプレーやオゾン脱臭機を使って臭いを除去しますが、構造の内部まで汚染されている場合は、壁や床をはがして新しくするリフォームが必要です。

また、腐敗が進んだ場合には下地や断熱材の交換も求められることがあります。清掃は応急処置的な側面もあるため、リフォームと組み合わせてようやく本来の生活環境が整います。両者は役割が異なるからこそ、適切に使い分ける必要があるのです。

清掃業者がリフォームまで対応できる場合

近年では、特殊清掃とあわせてリフォームまで一括で対応できる業者が増えています。こうした業者に依頼するメリットは、作業の手間や費用を一括で管理できる点にあります。たとえば、清掃直後に汚染状況を確認し、そのまま床の張り替えや壁紙の交換に入ることができれば、作業時間の短縮にもつながります。

また、同じ業者が最初から最後まで対応することで、責任の所在が明確になり、万が一のトラブルにもスムーズに対応してもらえます。さらに、依頼者側の連絡や日程調整の手間も少なく済みます。ワンストップ対応は、精神的な負担の軽減にも効果的です。ただし、すべての業者がリフォームに対応しているとは限らないため、事前に実績や施工範囲の確認をしておくことがとても大切です。

分離依頼のメリット・デメリット

特殊清掃とリフォームを別々の業者に依頼する方法には、それぞれの専門性を活かせるというメリットがあります。たとえば、清掃は遺体による汚染処理に特化した業者に、リフォームは建築専門の業者に頼むことで、より高品質な対応が期待できます。また、複数の見積もりを比較することで、コストを抑えられる可能性もあります。

しかし、業者同士の連携が不十分だと、作業の進行が滞ったり、責任の所在が不明確になってしまう恐れがあります。日程調整や作業内容の把握を依頼者側が行う負担も増えます。さらに、工程が複雑な場合はスケジュール管理が難しくなることもあります。こうした点を踏まえたうえで、状況に応じた依頼方法を選ぶことが重要です。

特殊清掃後にかかるリフォーム費用の目安

リフォームの費用は、作業内容や建材の種類、汚染の範囲によって大きく異なります。特殊清掃だけで済まない場合は、リフォームの見積もりも一緒に取っておくと安心です。以下では、よくある工事項目ごとに目安となる費用をご紹介します。

フローリング・壁紙など内装の張り替え費用

特殊清掃後に最も多いのが、床や壁紙などの内装の張り替えです。体液や臭いが染み込んだ場合、表面の清掃では完全に除去できず、再び臭いが発生するリスクがあります。そのため、汚れたフローリングやクロスをはがして、新しいものに交換する作業が必要になります。

一般的なワンルームでのフローリング張り替えは、材質にもよりますが5万円〜15万円が目安です。壁紙の張り替えは、1㎡あたり1,000円〜1,500円程度が相場です。作業範囲が広くなると、その分費用も増加します。

また、下地が傷んでいた場合は、合板や石膏ボードの交換も必要となり、その分費用が上乗せされます。見た目だけでなく、臭いや衛生面からも張り替えは重要な工程です。

浴槽や配管設備の交換・修繕費用

浴室で亡くなられたケースでは、浴槽や排水管にまで体液や臭気が入り込み、設備そのものを交換しなければならない場合があります。表面的にきれいでも、配管の内部に臭いが残っていると再発のリスクがあるため、修繕だけではなく交換が求められることもあります。ユニットバスの入れ替えには、標準的なサイズで30万円〜50万円が必要となります。部分的な配管交換の場合でも、5万円〜15万円程度はかかるケースが多いです。

また、床下にある排水管やトラップにまで臭気が及んでいる場合は、床材をはがしての大掛かりな工事が必要になるため、工事費がさらに高額になることもあります。正確な見積もりは現地調査が必須です。

状況によって発生する追加費用の具体例

特殊清掃後のリフォームでは、状況に応じてさまざまな追加費用が発生することがあります。たとえば、害虫の発生が確認された場合は、殺虫処理や再発防止のための施工が必要になり、数万円の追加費用がかかります。臭いが強く残っている場合は、オゾン脱臭機の設置や繰り返しの消臭作業が必要になることもあります。こうした対応は1回あたり2万円〜5万円程度が相場です。

また、重度の腐敗が進んでいる場合は、建物の下地材や断熱材の交換が必要となり、部分的なリフォームでは済まないケースもあります。さらに、建物の構造上の制限から工事が難航する場合には、人件費や施工時間も増え、想定以上の費用になることがあります。見積もり段階でよく確認することが大切です。

信頼できる業者の見極め方と依頼のコツ

特殊清掃とリフォームを依頼するうえで、業者選びは最も重要なポイントです。費用だけで判断せず、対応力や実績、説明の丁寧さなどを総合的に見極めましょう。ここでは、信頼できる業者を選ぶために確認すべき項目をご紹介します。

見積もり内容と説明の明確さをチェック

信頼できる業者は、見積もり内容を詳細に説明してくれます。たとえば、作業ごとの費用内訳が明記されており、「消臭」「除菌」「リフォーム」などの作業項目ごとに金額が分かれているのが理想です。

また、現地調査を行い、実際の状況に応じた見積もりを提示してくれる業者であれば安心です。一方で、相場より極端に安い見積もりを出してくる業者には注意が必要です。作業後に「想定外の追加作業があった」などと追加料金を請求されるケースもあります。

契約前に、見積もり内容を口頭ではなく書面で確認し、不明点は遠慮せず質問しましょう。丁寧な説明ができる業者は、対応力にも信頼がおけることが多いです。

消臭や除菌への具体的な対応実績

特殊清掃後の臭いや衛生面の処理は、作業品質に直結する重要なポイントです。信頼できる業者は、消臭や除菌に関して具体的な作業実績や使用する薬剤・機材について詳しく説明してくれます。たとえば、オゾン脱臭機や特殊酵素を使った処理、複数回に分けた消臭作業の実施など、対応内容を具体的に提示してくれる業者は安心です。

また、過去の施工事例を写真付きで提示してくれるかどうかも、業者選びの判断材料になります。実績が豊富な業者であれば、同様のケースに対応した経験があり、より的確な作業を行ってくれます。公式サイトに実績を掲載している業者や、第三者機関の認定を受けている業者であれば、より信頼性が高いといえるでしょう。

近隣・物件オーナーへの配慮体制があるか

特殊清掃やリフォームの作業は、場合によっては近隣住民や物件オーナーに影響を与えることがあります。たとえば、臭いが外に漏れる、害虫が一時的に移動する、作業音が出るといったことが考えられます。そのため、信頼できる業者は、作業前に近隣への配慮として事前の挨拶や説明を行う体制を整えています。

また、賃貸物件であれば管理会社やオーナーとの連携が必要になることもあり、スムーズな対応が求められます。こうした点について、業者がどのように対応してくれるのかをあらかじめ確認しておくと安心です。配慮の行き届いた業者であれば、作業中のトラブルを最小限に抑えられ、精神的な負担も軽くすることができます。丁寧な姿勢は信頼の証でもあります。

まとめ

特殊清掃のあとにリフォームが必要になるのは、臭いや汚れが建物の内部まで広がっているケースが多いためです。清掃だけでは対応しきれない場合、フローリングや壁紙、浴槽や配管などの交換が必要になることもあります。費用は作業内容によって異なりますが、相場を知ったうえで信頼できる業者に依頼することが大切です。

また、見積もり内容や実績、説明の丁寧さ、近隣への配慮なども業者選びのポイントとなります。清掃とリフォームをまとめて対応できる業者もあれば、分けて依頼する方法もありますので、ご自身の状況に合った方法を選びましょう。適切な対応を行えば、衛生的で安心できる空間を取り戻すことができます。

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