汚部屋の期間が長くなれば、ゴキブリは目に見えて増えていくでしょう。「ゴキブリくらい問題ない」という人は、ゴキブリの生態や健康被害を知れば、駆除したくなるかもしれません。ゴキブリと汚部屋の関係や、対策について紹介します。


汚部屋はゴキブリの住処になりやすい

ゴキブリはバッタやカマキリの仲間で、学術的には直翅目(ちょくしもく)という種類に属します。世界中に4000種類以上が生息しているといわれており、日本で知られているのは、そのうちの20種類ほどです。

よく見かけるゴキブリは『クロゴキブリ』または『チャバネゴキブリ』『ヤマトゴキブリ』ですが、いずれも繁殖力・生命力が強いという特徴があります。メスの卵からは20~50匹程度が一度に生まれるため、ひとたび繁殖すると、爆発的に増えていくでしょう。

見るだけで人を不快にさせるゴキブリが、汚部屋にはびこりやすいのはなぜなのでしょうか。

餌が豊富

ゴキブリが好むのは、食べカスや生ゴミだけではありません。ダンボールや衣類などのほか、ホコリすら餌にします。つまり、汚部屋に散乱する物のほとんどが、ゴキブリにとっては美味しい餌といえるのです。

ゴキブリの全体数が増えても、汚部屋なら餌に困ることはありません。ゴキブリの好む餌が豊富にある限り、ゴキブリは際限なく繁殖し続けるでしょう。

隠れる場所が多い

ゴミや不用品で溢れた汚部屋には、ゴキブリの最も好む『暗くて狭い場所』がたくさんあります。物陰に潜んでいれば駆除されるおそれもないため、繁殖も容易です。

特にゴキブリは、5mm程度の隙間を最も好むと言われています。物が多い汚部屋ほどそこかしこに細かな隙間があるため、ゴキブリにとっては快適な住処となるでしょう。

見えない場所がゴキブリだらけの可能性も

ゴキブリは暗く狭い場所を好むため、目に見えない場所にも潜んでいるかもしれません。例えば、通電している家電製品の内部は熱を持っているため、暖かい場所を好むゴキブリが侵入している可能性があります。特に、冷蔵庫、炊飯器、電気ポットなどはゴキブリが侵入しやすいとされる場所です。

また、コンセント内部もゴキブリが好む場所です。ただしこの場合は気持ち悪いだけではなく、漏電による火災の危険もあります。ゴキブリがコンセント内に集まると、電気基盤がダメージを受ける可能性があるのです。

事実、過去には大量のチャバネゴキブリがコンセント内部に侵入して漏電を起こし、火災の原因となったケースがありました。見える場所にゴキブリがいないからと安心していると、思わぬ被害に悩まされるかもしれません。

ゴキブリは多くの健康被害を生む

ゴキブリは油膜に包まれているため、自身の持つ有害菌の影響を受けることはありません。しかし、有害菌にまみれた体で室内を荒らすため、時には人体に大きな悪影響を与えるのです。

『衛生害虫』にも分類されるゴキブリがいると、どのような健康被害が懸念されるのでしょうか。

雑菌や病原菌をばらまく

ゴキブリが持つとされる病原体と病気には、以下のようなものがあります。

  • サルモネラ菌:食中毒
  • 赤痢菌:赤痢
  • チフス菌:チフス
  • 大腸菌:胃腸炎
  • 小児麻痺病原体:小児麻痺

一般にゴキブリが持つ菌やウィルスは毒性が高く危険とされており、感染すると深刻な健康被害を受けることがあります。ゴキブリが触れた食べ物を口にするのはもちろん、調理器具や家具などに触れても菌に感染する恐れがあるため、注意が必要です。

糞はアレルギーの原因に

ゴキブリの多い汚部屋では、ゴキブリが排出した糞が乾燥して空気中を舞っています。それを吸い込んでしまうと、喘息のようなアレルギー症状を発症するかもしれません。

あるデータでは、海外はアレルギー患者のおよそ半数が、ゴキブリをアレルゲンとしたゴキブリアレルギーだとの報告があります。日本の場合は『アレルゲンはハウスダスト』というケースが大半ですが、ゴキブリのいる空間で暮らす期間が長いほど、ゴキブリアレルギーを発症する可能性は高いといえるでしょう。

ゴキブリ駆除は業者に依頼しよう

卵を抱えたメスゴキブリがいれば、一度に10匹以上のゴキブリが生まれます。また、ゴキブリは集団で行動する習性があるため、1匹見かけると数10匹いたというケースは珍しくないでしょう。

特に、汚部屋はゴキブリが好む環境が揃っています。手に負えないほど多数のゴキブリがいる可能性もあるため、駆除する際は業者に依頼するのがベターでしょう。

業務用殺虫剤や駆除剤で全滅させる

ゴキブリ駆除を専門とする業者は、プロの駆除テクニックでゴキブリを全滅させます。

家庭では、ゴキブリ駆除に燻煙式の薬剤を使う人が多いでしょう。部屋に置くだけと便利ですが、やり方によっては煙が隅々までいきわたらないこともあります。

ところが、同じ燻煙式の薬剤を使用しても、業者は噴霧器を使います。防護マスクを着用して、薬剤をすみずみまで散布するスタイルのため、薬剤の散布漏れがありません。

また、ホウ酸団子などの駆除剤も、ゴキブリの生態を熟知している業者なら、的確な場所に設置できます。ゴキブリが確実に駆除剤を口にするため、巣ごとの退治も可能です。

こうした駆除剤以外にも、業者なら市販されていない強力な薬剤も利用できます。1人でゴキブリに立ち向かうより、はるかにスムーズにゴキブリを駆除してくれるでしょう。

アフターサービスの提供もある

駆除専門業者に依頼した後は、一定の保証期間があるケースがほとんどです。この期間中にゴキブリが現れても、業者に連絡すれば無料で駆除してくれるでしょう。

ただし、『窓を長らく開けっぱなしにしてゴキブリが入った』などのケースは、アフターサービスから除外されるかもしれません。駆除後は業者のアドバイスを徹底し、新たなゴキブリを侵入させないための注意が必要です。

ゴキブリを部屋に生息させないために

ゴキブリを駆除しても、それまでと同じ暮らしをしていては、再びゴキブリが繁殖してしまうかもしれません。ゴキブリを増やさず快適に暮らすなら、部屋を清潔に保ち、侵入経路を断つことが重要です。

清潔な部屋を保つ

ゴキブリが快適に感じるのは、暖かく湿気があり狭い場所です。生ゴミやホコリの多い不衛生な部屋は餌も豊富なため、ゴキブリは大挙してやってくるでしょう。

ゴキブリを防ぐにはまず、このような不衛生な環境を改善することが重要です。物をきちんと収納してゴキブリの隠れ家を失くし、通気を良くします。ゴミは適切に処理して溜め込まず、こまめにホコリを払えば、ゴキブリは住みにくくなるでしょう。

特に、ゴキブリは夜行性のため、活動が活発になる夜は生ゴミを出しっぱなしにしないことが重要です。

段ボールを放置しない

段ボールは、5mm程度の隙間があり適度に暖かいため、ゴキブリが好む隠れ家です。ここで産卵するゴキブリも多く、段ボールに付着した卵から大量のゴキブリが発生したというケースも珍しくありません。

そのため、宅配便などで段ボールを受け取ったら、なるべくすみやかに処分しましょう。いくら家の中を綺麗にしていても、外部から持ち込まれてはどうしようもありません。段ボールはゴキブリが好む、と心得て長期間放置しないよう注意が必要です。

侵入を防ぐ

ゴキブリはわずか数mmの隙間からでも侵入します。玄関は開け放しにしない、窓には網戸をつけるなど、『隙間を防ぐ』ことを徹底しましょう。

また、見落としがちなのが換気扇やエアコンホースなどの小さな隙間です。ゴキブリは隙間さえあればどんなところからでも侵入できるため、ここにもフィルターや網を取り付けて、ゴキブリを通さないようにしなければなりません。

さらに、玄関など頻繁に開け閉めする場所は、ゴキブリ忌避剤の散布が有効です。小さな子供やペットがいる家庭なら、殺虫剤の代わりにハッカ油を撒いてもよいでしょう。

ただし、ドアポストのある家は、ここからゴキブリが侵入する可能性もあります。ドアポストにはネットを張るなど対策を取り、新聞やチラシは置きっぱなしにしないように注意が必要です。

駆除剤を使用

点検口は実際に点検が行われることがあるため、完全に塞ぐことはできません。そのため、床下からのゴキブリの侵入を防ぐには、床下点検口に駆除剤を設置するのが有効です。

置き餌式の駆除剤なら、巣に帰ってから絶命するため、不快な姿を見ずにすむでしょう。

まとめ

不衛生な汚部屋では、害虫の大量発生が心配です。なかでも生命力・繁殖力の強いゴキブリは、高確率で汚部屋に存在し、住民を悩ませるでしょう。

ゴキブリは1度繁殖するとものすごい数になることがあるため、汚部屋になって長い人は、自力での駆除は困難かもしれません。すでに部屋のあちこちにゴキブリがいる状態なら、プロのテクニックを持った駆除専門業者の利用をおすすめします。

人間が快適に感じる、清潔ですっきりした部屋は、ゴキブリは好みません。こまめに部屋を掃除・片付けし、汚部屋を脱出すれば、ゴキブリは寄り付きにくくなるでしょう。