人が孤独死すると、事後処理は相続人となる遺族に任されます。死後まで負担をかけたくないと感じたら、元気なうちから生前整理を始めてみてはいかがでしょうか。やる気が出ない人は、孤独死にまつわるトラブルを知れば、「始めよう」と思うかもしれません。


孤独死後に起こる問題

孤独死とは、誰にも看取られず、孤独の中ひっそりと亡くなってしまうことです。多くのケースでは死後数日たってから発見されるため、通常の死にはない問題も発生します。

孤独死後にはどんな問題があるのでしょうか。

遺品の整理、処分

人が孤独死してしまった場合は、相続人が遺品の整理や処分を行わなければなりません。

相続人として連絡を受けた人はすぐに現地に赴き、葬儀や死亡手続きを行うほか、相続手続きも平行して行わねばならないでしょう。ただし、孤独死するような人は家族や他人との交流が無かったケースが多く、必要な物を探したり、物の処分をどのようにすべきか判断したりが難しいことがほとんどです。

相続関係のトラブルが起こる場合も

相続人が見つかっても、交流がほとんどなかったり、負債しか相続するものが無かったりする場合は、相続人による『相続放棄』が考えられます。

相続放棄すると、プラス・マイナスに関わらず、全ての遺産に対する権利は消滅します。同時に遺品整理をする義務も無くなるため、遺品整理は次の相相続人を待たねばならないでしょう。

孤独死する人の中には資産が全くない場合が多く、相続人が見つかっても相続拒否されるパターンは珍しくありません。負債があるにもかかわらず、相続権を持つ人全てが相続を拒否した場合は、債権者により『相続財産管理人』選任の申立が行われるケースもあります。

アパートなど賃貸物件の解約や賠償

賃貸物件で孤独死してしまった場合は、相続人や連帯保証人が解約手続きを取らねばなりません。また、死後の状態が良くなく、物件に損傷を与えていた場合は原状回復の費用も支払わねばならないでしょう。

こうした費用を孤独死した人の財産で支払うには、まず相続する人を確定し、財産を相続せねばなりません。人の死後、残された財産は全ての相続者の共有財産として扱われるため、勝手に動かすことはできないのです。

遺品整理は誰が行う?

孤独死した後の遺品整理は、基本的に相続人が行います。ただし、身内とはいえ故人とあまり交流がなかった場合は、相続拒否の手続きを取る人も珍しくはありません。

孤独死が発生した場合、遺品整理については誰が行うことになるのでしょうか。

基本は相続人

人が亡くなった場合、遺品整理を行うのは相続人です。ほとんどの場合は子供や兄弟姉妹が相続人となるため、遺族が行うべきと考えればよいでしょう。

遺品整理は相続人の義務とされているため、『相続人である』と決定した時点で、その人には故人の遺品を適切に処理する義務が生じるのです。

相続人がいない、相続放棄された場合

孤独死するような人の場合、家族との縁が薄い人も珍しくありません。このような人の家族は相続人に選ばれても相続を承知せず、『相続放棄』を選択するケースもあります。

相続人が相続放棄したり、故人が天涯孤独で相続人がいなかったりした場合は、管理会社や大家が遺品整理を行わねばなりません。この場合、遺品整理費用だけではなく、葬儀費用や部屋の原状回復にかかる費用などについても、管理会社や大家が負担することになるでしょう。

遺品整理士に依頼する場合の料金

故人の遺品を仕分け、不要な物を処分するというのは手間のかかる仕事です。まして生前故人と関わりが薄かったなら、何から手を付けてよいかわからなくなるでしょう。

遺品整理で困った時、頼りになるのが遺品整理専門業者です。なかでも遺品整理士が常駐する業者なら、適切に遺品を取り扱ってくれるでしょう。遺品整理業者に遺品整理を依頼した場合、料金はどのくらいになるのでしょうか。

孤独死の遺品整理内訳

遺品整理業者に依頼すると、費用は次の項目が含まれます。

  • 人件費
  • 車両費
  • 処理費

人件費には、仕分け作業、梱包作業、清掃作業にかかる経費が含まれます。また、車両費は荷物を運び出すための経費、処理費はゴミ袋費用やゴミ処理業者に依頼する費用などです。

以上を合わせたものが遺品整理業者に支払う費用となりますが、孤独死の場合は『特殊清掃費用』がかかることもあります。遺品整理にかかる費用はケース・バイ・ケースで増える可能性があることも留意しておきましょう。

特殊清掃が必要になる

特殊清掃とは、通常のハウスクリーニングでは対応できない部屋の汚染、悪臭の除去を指します。

孤独死があった場合、亡くなった時点で体の変化が始まります。発見までに長くかかれば、遺体周辺には故人の体液、糞尿、血液などがしみ付いているでしょう。

こうした死後のしみや悪臭は通常の機材や薬剤では対応できず、特殊な技術や薬剤が必要となります。一般的に特殊清掃費は通常の料金とは別請求のため、状況によっては、遺品整理費用は大きく増えるかもしれません。

費用は部屋の広さと荷物の量に比例

遺品整理費用は部屋の広さや遺品の量に比例して多くなります。部屋のサイズと遺品整理費用の相場は、次のとおりです。

  • 1LDK:7万円~
  • 2LDK:12万円~
  • 3LDK:18万円~
  • 4LDK以上:23万円~

部屋が広かったり遺品の量が多かったりすれば、派遣される人員も増えるうえ、作業時間も長くなります。物の処分費用も多くかかるため、遺品整理費用そのものが高くなると考えられるでしょう。

孤独死によるトラブルを避ける方法

家族や親族が孤独死してしまった場合、対応の仕方を誤ると思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。不当な費用や対応を求められることがないよう、「もしも孤独死が起きたら」と想定しておくことが重要です。

事前に法律や制度を確認する

賃貸物件で孤独死した場合、家主や管理会社から原状回復費用を請求されることがあるでしょう。しかし、孤独死は通常『自然死』としてみなされるため、『原状回復義務は家主にある』とする考え方が一般的です。相続人だからといって、必ずしも請求金額の全てを支払う必要はないと覚えておきましょう。

また、相続放棄を選択すれば、原状回復費用や損害賠償を支払う必要はありません。ただし、この時注意したいのが遺品整理に手をつけないことです。家主や管理会社の中には、「困るから早く遺品を片付けてくれ」という人もいるでしょう。しかしこれに応じると『相続の意思あり』とみなされ、故人の負債を背負う義務が発生します。

相続について慎重に考えたい場合はどんなに求められても、うかつに遺品整理を行わないよう注意しましょう。

弁護士など専門家に相談

孤独死は状況や状態によって法律の判断が異なる場合が多く、裁判でも色々な判決が下されています。素人にはわかりにくい部分が多いため、万が一孤独死トラブルに直面した際は、速やかに弁護士など専門家に相談するのがベターです。

どうしても適切な弁護士を見つけられない場合は、法テラスに相談すれば、孤独死トラブルに強い弁護士を見つけられるでしょう。

生前整理を行う

孤独死トラブルの防止に有効なのが、家族や本人に生前整理を行ってもらうことです。自分で遺品についての処分の仕方や在処をまとめておけば、残された家族にかかる負担は軽減できます。

また、生前整理で不用品を処分し部屋をスッキリさせれば、家族の気持ちも前向きになります。気持ちが外へ向かえば他人との接点も増え、孤独死のリスク軽減にも繋がるでしょう。

まとめ

高齢化・核家族化が進む日本では、孤独死は社会問題の1つとなっています。

残された遺族にかかる負担が大きければ『誰も相続しない』かもしれません。この場合遺品整理を行ってくれる人はおらず、他人が大切な遺品に手をつけることになるでしょう。

1人で暮らしている人なら、孤独死は決して他人事ではありません。生前整理をしておくなど、万が一のケースを考えて、トラブルがないよう手を尽くしておくことをおすすめします。