不用品回収業は需要が高まり続けており、個人事業主として起業を考える方も増えています。しかし、始めるには「古物商許可」や「一般廃棄物収集運搬業許可」など、法律で定められた許可が必要です。無許可で営業すると罰則やトラブルにつながるため、正しい知識を持つことが欠かせません。
本記事では、個人事業主が不用品回収業を開業する流れや必要な許可、収入の目安、安定して利益を出す方法を分かりやすく解説します。
個人事業主でも不用品回収業は始められるのか?

不用品回収業は法人だけでなく、個人事業主としても始めることが可能です。ただし、法律に基づいた許可の取得が前提条件であり、無許可での営業は違法となります。起業前にしっかり理解しておくことが重要です。
個人でも開業できるが許可取得が前提条件
不用品回収業は、個人事業主としても開業できますが、最大の条件は必ず必要な許可を取得することです。不用品回収と一口に言っても、扱う内容によって法律上の区分が異なります。例えば、家庭から出る不用品を回収する場合は「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要であり、オフィスや工場など事業系のごみを扱う場合は「産業廃棄物収集運搬業許可」が求められます。
また、リユース目的で不用品を買い取る際には「古物商許可」が必須となります。これらの許可は、自治体や公安委員会など公的機関に申請して取得する仕組みであり、審査には設備や人員体制など一定の条件を満たす必要があります。
無許可で営業すると廃棄物処理法違反にあたり、罰則や行政処分を受ける可能性が高いです。そのため、個人で始める場合も、法人と同様に許可の取得を前提とした準備を進めなければなりません。
法人との違いと個人事業主のメリット・デメリット
不用品回収業は法人だけでなく個人事業主でも始められますが、両者には違いがあります。まず、個人事業主のメリットは初期費用や設立手続きが少なく、税務署に開業届を提出すればすぐに事業を始められる点です。また、利益が小さいうちは所得税のみの納税で済むため、ランニングコストを抑えやすいのも強みです。
一方、デメリットとしては、個人の信用力が法人より低く、取引先や顧客から信頼を得にくい場合があることです。さらに、利益が大きくなると所得税の累進課税により負担が増える可能性もあります。法人は社会的信用が高く、大きな契約を取りやすい反面、設立や維持にコストがかかります。
つまり、個人事業主として不用品回収業を始める場合は、小規模から始めて徐々に規模を拡大するのに向いており、自分の目標や資金状況に合わせて法人化を検討する流れが現実的といえるでしょう。
不用品回収業の開業に必要な3つの許可

不用品回収業を始めるには、扱う内容に応じて複数の許可が必要です。主に「古物商許可」「一般廃棄物収集運搬業許可」「産業廃棄物収集運搬業許可」の3つが重要で、事業の性質に合わせて取得が求められます。
不用品を買取販売するための「古物商許可」
不用品回収業を行う際、回収した品をそのまま処分するだけでなく、まだ使えるものをリサイクルショップなどで販売したり、自社で再販したりするケースがあります。このように再利用や販売を目的として不用品を買い取る場合には、「古物商許可」が必須です。
古物商許可は、都道府県の公安委員会を通じて取得するもので、盗品の流通を防ぐために設けられています。この許可がなければ、法律的には中古品の買取や販売を行うことはできません。申請には、営業所の所在地や身分証明書、登記されていない証明書などの書類が必要で、数万円程度の申請手数料もかかります。
また、古物商許可を持つ業者は、取引の記録を保存する義務があり、顧客にとっても安心して利用できる目安になります。不用品回収と買取を組み合わせることで収益の幅が広がるため、この許可の取得は事業の発展に大きく関わるポイントです。
家庭ごみ処分に必須の「一般廃棄物収集運搬業許可」
家庭から出る家具や家電、生活用品といった不用品を回収する場合には、「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要です。この許可は、市区町村ごとに発行されるもので、各自治体が責任を持って家庭ごみの処理を管理するために設けられています。
取得には、自治体が定める厳しい基準を満たす必要があり、特に新規の許可は簡単に出されないのが現状です。そのため、個人事業主が新規でこの許可を得るのは難しく、多くの場合は既存の許可業者と提携する形で家庭ごみの回収に対応しています。
無許可で家庭ごみを扱うことは廃棄物処理法違反となり、罰則や行政処分の対象になるため注意が必要です。顧客にとっても、許可を持つ業者に依頼することで、正しく処分される安心感があります。不用品回収業を始める際は、この許可の有無が信頼性の大きな判断材料となるため、必ず確認すべき重要な許可です。
事業系ごみを扱うための「産業廃棄物収集運搬業許可」
オフィスや店舗、工場などから出る事業系の不用品を回収するには、「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要です。産業廃棄物には、金属くずや廃プラスチック、ガラス、建設廃材など多様なものが含まれ、適切な処理を行わなければ環境汚染につながる恐れがあります。
このため、許可を取得するには、専用の車両や運搬設備の整備、処分先との契約、さらには講習を受講したうえでの申請が求められます。産業廃棄物収集運搬業許可は都道府県ごとに発行されるため、複数の地域で事業を展開する場合はそれぞれの自治体に申請しなければなりません。
この許可を持たずに事業系ごみを扱うと、法律違反となり厳しい罰則が科される可能性があります。法人だけでなく個人事業主でも取得可能ですが、条件を満たすためには準備とコストがかかります。事業系の不用品回収を手がけるなら、この許可を取得しておくことが信頼性と事業拡大の鍵となります。
無許可で不用品回収を行った場合のリスク

不用品回収を無許可で行うと、利用者と業者の双方に大きなリスクが生じます。罰則や高額請求の被害、さらには不法投棄による環境問題など深刻なトラブルにつながるため、注意が必要です。
高額請求や処分違反で罰則を受ける可能性
無許可業者に不用品回収を依頼すると、料金トラブルや処分違反による罰則を受ける危険があります。多くのケースでは「格安で回収」と宣伝していながら、作業後に追加費用を請求し、想定外の高額請求をされる事例が発生しています。
さらに、許可を持たない業者は適切な処分ルートを確保していないため、廃棄物処理法に違反した方法で処分することが少なくありません。法律では無許可営業そのものが禁止されており、業者だけでなく利用者も関与を疑われる可能性があります。
廃棄物処理法違反が認められると、罰金や懲役刑などの厳しい処分が科されることもあります。正規の許可業者であれば、事前に見積もりを提示し、追加料金の有無も明確に説明してくれるため、安心して依頼できます。不用品を安全に処分するには、許可の確認を怠らないことが重要です。
不法投棄による環境問題や利用者トラブル
無許可の不用品回収業者に依頼した場合、回収した品が不法投棄されるリスクが高まります。山林や空き地に家電や家具が捨てられると、景観を損ねるだけでなく、害虫や悪臭の発生、土壌や水質の汚染といった環境問題を引き起こします。
不法投棄は廃棄物処理法で厳しく罰せられる行為であり、依頼した利用者も調査の対象となり、トラブルに巻き込まれる恐れがあります。また、不法投棄が発覚すると自治体や地域住民との信頼関係を損ない、社会的信用にも傷がつきます。正規の業者は許可を持ち、自治体が指定した処理施設に廃棄物を搬入して適切に処理しています。
無許可業者に依頼すると短期的には安く済むように見えても、環境汚染や法的トラブルの代償は大きな負担となります。安心して依頼するためには、必ず許可証を提示できる業者を選ぶことが欠かせません。
個人事業主が不用品回収業を開業するステップ

個人事業主として不用品回収業を始めるには、事前の準備と正しい手続きが欠かせません。事業計画を立て、必要な資金や車両を用意し、各種許可を取得した上で、税務署に開業届を提出する流れが基本です。
事業計画を立て資金や車両を準備する
不用品回収業を始める際には、まず明確な事業計画を立てることが重要です。計画には、どの地域を対象にするのか、家庭ごみ・事業ごみ・買取品などどの分野に注力するのかを整理します。これにより、必要となる資金や設備を見積もりやすくなります。
例えば、回収用のトラックは必須で、軽トラックから2トントラックまで規模に応じて選ぶ必要があります。さらに、積み込みに使う台車や工具、スタッフ用の作業服なども揃えなければなりません。資金面では、車両購入や整備費用、許可申請の手数料、広告宣伝費などを含めると、数十万円から数百万円が必要になります。
資金を確保する方法としては、自己資金に加え、日本政策金融公庫などの融資制度を利用する選択肢もあります。事業計画を具体化することで、リスクを抑えつつ安定した開業につなげられます。
必要な許可を申請・取得して体制を整える
不用品回収業を合法的に営むためには、扱う品目に応じて複数の許可を取得しなければなりません。例えば、リユース目的で不用品を買い取る場合は「古物商許可」、家庭ごみを扱う場合は「一般廃棄物収集運搬業許可」、事業系ごみを回収する場合は「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要です。
これらの許可は、それぞれ公安委員会や自治体、都道府県に申請し、審査を受けたうえで取得する仕組みになっています。申請には、営業所の所在地を明確にする書類や、運搬用車両の情報、処分先との契約書類などが必要で、審査基準を満たさなければ許可は下りません。
許可の取得には数週間から数か月かかる場合もあるため、早めに準備を始めることが大切です。正しい許可を持っていることは、顧客からの信頼を得る上でも不可欠であり、開業準備の中でも最も重要なステップといえます。
税務署へ開業届を提出し事業をスタートする
資金や許可の準備が整ったら、最後のステップとして税務署に「開業届」を提出します。開業届は正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」と呼ばれ、事業を始めてから1か月以内に税務署へ提出することが義務づけられています。この届出により、税務署はあなたを事業者として認識し、確定申告や納税の対象になります。
提出の際には、屋号や事業内容、事業開始日を記入し、控えを保存しておくと融資や許認可の申請時に役立ちます。さらに、青色申告承認申請書を同時に出しておくと、65万円の特別控除や赤字の繰り越しが可能となり、節税効果が大きくなります。
開業届の提出自体に費用はかからず、税務署の窓口や郵送で簡単に行えます。事業者としてのスタートを切るために、この手続きを忘れずに行うことが安定した経営の第一歩です。
不用品回収業の収入目安と利益を上げる方法

不用品回収業は個人事業主でも始められる事業ですが、収入の相場や利益を伸ばす工夫を理解しておくことが大切です。売上の目安を把握し、集客やリユースを取り入れることで安定した経営につながります。
個人事業主の平均的な売上と収入相場
不用品回収業を個人事業主として運営した場合、売上は月に30万円から100万円程度が一般的な目安とされています。軽トラック1台で地域密着型の営業を行う場合、1回の作業単価は1万円から3万円程度で、1日数件の依頼をこなせば安定した売上が見込めます。
ただし、収入は繁忙期と閑散期で大きく変動するのが特徴です。例えば、引越しシーズンの3月や4月は依頼が集中し、通常の2倍以上の売上になることもあります。一方、閑散期は収入が半分以下になる場合もあるため、年間を通じた収支計画を立てる必要があります。
また、売上から車両費、燃料費、人件費、処分費用などを差し引いた利益は、売上の30〜40%程度に落ち着くケースが多いです。つまり、月商50万円なら月の利益は15万円から20万円前後が現実的な水準といえるでしょう。
集客やリユースで利益を増やす具体的な工夫
不用品回収業で利益を増やすためには、集客とリユースの工夫が欠かせません。まず集客面では、ホームページやSNSを活用して地域名と「不用品回収」を組み合わせたキーワードで検索に強い情報発信をすることが効果的です。Googleビジネスプロフィールに登録し、口コミを集めることで信頼度も高まります。
次にリユースの活用です。まだ使える家具や家電は処分するだけでなく、リサイクルショップやネットオークションで販売すれば収入源を増やせます。特に古物商許可を取得していれば合法的に買取販売ができ、回収費用と買取収益の両方を確保できます。
さらに、法人契約を結んで定期的にオフィスや店舗の不用品を回収する仕組みを作れば、売上の安定化にもつながります。こうした集客とリユースを組み合わせることで、同じ作業量でも利益を大きく伸ばすことが可能になります。
開業後に押さえておきたい実務上の注意点

不用品回収業を個人事業主として始めた後は、信頼を積み重ねるための運営が欠かせません。許可番号や会社情報を公開し、料金体系を明確に示し、保険や契約書でリスクに備えることが重要です。
許可番号や会社情報を公開し信頼性を示す
不用品回収業を運営する際、許可番号や会社情報をきちんと公開することは信頼性を高めるために必要不可欠です。顧客は公式サイトやチラシを見て「この業者は本当に許可を持っているのか?」と確認します。
もし記載がなければ、不安を抱かれて依頼につながらない可能性があります。逆に、古物商許可番号や一般廃棄物収集運搬業許可などの情報を明記している業者は、安心感を与えられます。また、所在地や代表者名、固定電話番号などを公開しているかどうかも重要です。
これらの情報が不十分だと、無許可業者や悪質業者と誤解される恐れがあります。透明性のある情報公開は、検索エンジンからの評価にもプラスに働きます。顧客から選ばれる業者になるためには、許可番号や会社概要を積極的に発信する姿勢が求められます。
料金体系を明確にしトラブルを防ぐ
料金トラブルを避けるためには、料金体系を分かりやすく提示することが大切です。不用品回収では、処分品目や量によって料金が変動するため、顧客は「本当に追加費用がかからないのか」と不安を感じやすいものです。信頼できる業者は、基本料金・出張費・処分費・人件費などを細かく明示し、契約前に総額を提示します。
こうした明確な説明があると、顧客は安心して依頼できます。一方、料金をあいまいに伝える業者は、作業後に追加料金を請求してトラブルになることが少なくありません。
特に「想定外の処分費」や「特別作業料」といった名目は問題が起こりやすい部分です。見積もりを事前に出し、複数の業者と比較できるようにすれば、顧客の信頼を得ることができます。透明性のある料金提示は、集客力を高めるSEO対策としても効果的です。
保険や契約書でリスクに備える
不用品回収業を営むうえで、保険や契約書を用意しておくことは万一のトラブルに備える重要な手段です。作業中に誤って壁や床を傷つけてしまったり、運搬中に家具を破損してしまうケースは決して珍しくありません。損害賠償保険に加入していれば、こうしたトラブルが発生した際も補償でき、顧客からの信頼を守ることができます。
また、契約書を交わすことで、回収品目や料金、追加費用の有無を事前に取り決められます。これにより、後から「言った・言わない」の問題が起こることを防げます。
保険や契約書は事業者にとっても顧客にとっても安心材料となり、信頼関係を築く上で大きな役割を果たします。安定した経営を継続するためには、リスク管理を徹底することが欠かせません。
個人事業主に必要な確定申告のポイント

不用品回収業を個人事業主として営む場合、毎年の確定申告が欠かせません。経費を正しく計上し、青色申告を活用することで、税金の負担を減らしながら事業を安定して続けることが可能になります。
経費として計上できる代表的な費用
不用品回収業を行う際には、さまざまな出費が発生しますが、これらを経費として計上することで課税対象となる所得を減らせます。例えば、トラックや軽バンの購入費やリース代、燃料代、車両のメンテナンス費用は事業に直結するため代表的な経費です。また、処分場への搬入料金やリサイクル料も経費として認められます。
さらに、作業で使用する軍手や工具、制服、広告宣伝費、チラシやホームページの制作費も対象になります。自宅を事務所として使っている場合は、家賃や光熱費の一部を按分して経費に含めることができます。
経費を正しく記録して申告すれば、余分な税金を支払う必要がなくなり、手元に残る利益を増やせます。領収書やレシートを必ず保存し、会計ソフトを利用して整理しておくと確定申告がスムーズに行えます。こうした管理は事業を長く続けるための基本的な作業です。
青色申告を活用して節税につなげる
個人事業主が不用品回収業を営む場合、青色申告を選択することで大きな節税効果が得られます。青色申告には最大65万円の特別控除があり、課税される所得を大幅に減らすことができます。さらに、家族に支払う給与を必要経費として計上できる「青色事業専従者給与」の制度を活用すれば、家族と一緒に事業を行う場合に税負担を軽くできます。
また、事業が赤字になったときでも、その赤字を3年間繰り越して将来の黒字と相殺できる仕組みもあります。これにより、景気の変動や繁忙期・閑散期の収入差が大きい不用品回収業でも安定した税務対策が可能です。
ただし、青色申告を利用するには複式簿記での帳簿付けが求められますが、会計ソフトを使えば比較的簡単に対応できます。白色申告より手間はかかりますが、その分得られるメリットが大きいため、個人事業主として事業を長く続けるなら青色申告の選択がおすすめです。
まとめ
不用品回収業は個人事業主としても始められる事業ですが、必ず「古物商許可」「一般廃棄物収集運搬業許可」「産業廃棄物収集運搬業許可」といった必要な許可を取得することが前提条件です。無許可で営業すると、高額請求や不法投棄といったトラブルにつながり、法律違反として罰則を受ける危険もあります。
開業する際は、事業計画を立て資金や車両を準備し、税務署へ開業届を提出する流れが基本です。収入は繁忙期と閑散期で差が出ますが、集客やリユースを工夫すれば利益を安定させられます。
さらに、開業後は許可番号の公開や料金体系の明確化、保険や契約書でのリスク対策も欠かせません。確定申告では経費計上や青色申告を活用し、節税しながら健全な経営を目指しましょう。







