実家の遺品整理であっても、適当に行うのはトラブルのもとです。実家の遺品整理ではどのようなことに気をつければよいのでしょうか。また、時間や手間を省きたい人は遺品整理業者の利用を検討することも必要です。スムーズな遺品整理のコツを紹介します。


遺品整理とは何をすること?

家族が亡くなった場合、相続人の誰かが遺品整理をしなければなりません。とはいえ、遺品整理をしたことが無ければ、具体的にどんなことをすべきかわからない人もいるでしょう。遺品整理でやらなければならないこととは何なのでしょうか。

故人の遺品や資産の整理

遺品整理では、故人が遺した全ての物について整理してまとめたり処分したりします。このうち資産価値のあるものは『遺産』となり、相続対象として分けて保管しなければなりません。

故人の所有物を整理整頓することは、いわゆる『片付け』と同じでは、と感じる人もいるでしょう。しかし、遺品整理では故人の思いが残る日記、写真、手紙などはお焚き上げして供養したり、近しい人に形見として分けたりします。故人の思いや残された人の思いを汲み取りながらの片付けとなるため、単なる『掃除・片付け』ではないのです。

遺品整理で故人と向き合うことで、残された遺族も気持ちの整理をつけやすくなるでしょう。

不用品の片付け、処分

遺品整理では故人の遺した物すべてに行先を決めねばならないため、当然ゴミや不用品も大量に出てきます。故人宅にある物はたとえ紙屑や賞味期限切れの食物であっても、全て遺品整理の対象です。

また、使用者のいない家電や車、バイクなども処分しなければなりません。『明らかにゴミや不用品と判断できるものはまとめてゴミの日に出す』『売却できそうな家電や家財道具、車などは業者に買い取ってもらう』などして、処分するとよいでしょう。

近年はゴミの処分方法が厳密に定められています。地域によって分別の仕方やゴミの出し方は異なるため、遺品整理に取り掛かる前に、管轄区の自治体にゴミ出しルールについて確認しておくとよいでしょう。

賃貸物件の退去や空き家の売却

故人が賃貸物件に住んでいた場合は、決められた退去期限までに遺品整理を済ませ、原状回復ののち明け渡さなければなりません。また、故人の死後空き家を売却するつもりの人は、3年以内に売却しないと税金が多くかかることがあります。

なるべく早めに遺品整理を行って、売却できるようにしておきましょう。

遺品整理時のトラブルに注意

遺品整理は相続問題にも係わるため、適当にとりかかると思わぬトラブルに発展する可能性があります。面倒なトラブルを引き起こさないため、気を付けたいポイントを紹介します。

他の遺族や相続人と相談する

最も望ましいのは相続人全員で遺品整理にとりかかることですが、困難な場合はその場の人間で物の『要・不要』を判断し、処分する旨を周知しておきましょう。

不要だと思って処分したり売却したりした物が、他の遺族や相続人にとっては大切な物だったということがあるかもしれません。後々面倒なことにならないよう、遺品整理は全ての相続人の了承を得てから始めることが大切です。

相続放棄をしたい場合、遺品整理はしない

遺品整理を行うと『相続の意思アリ』とみなされ、相続放棄できなくなるかもしれません。故人の財産を相続してもマイナスにしかならない場合は、3カ月以内に相続放棄の手続きを取るのがベターです。

故人の住まいが賃貸物件で、大家や管理会社から遺品整理を求められた場合でも、放棄すると決めているなら遺品には手を付けずにおきましょう。どうしてもという場合は早々に相続放棄して次の相続人に任せるか、『相続財産管理人』を選定して、処分をお願いするしかありません。

遺品整理にかかる費用は?

遺品整理にかかる費用は部屋の数や遺品の量によって異なります。遺品整理ではどのような費用が必要になるのでしょうか。

不要な日用品や家財道具の処分費

自力での遺品整理で必要なのは、不要となった日用品や家財道具を処分するための費用です。

家庭ゴミで出せるゴミについては決められた曜日に出せばよいですが、粗大ゴミや冷蔵庫、エアコン、テレビ、洗濯機は引き取ってもらえません。多くの自治体は粗大ゴミの回収・処分サービスを行っているので、まずは自治体に料金や出し方を確認するとよいでしょう。

また、前述の家電については家電量販店や処分場で処理しなければなりません。自分で持ち込む場合はリサイクル料金だけで済みますが、取りに来てもらうなら、回収・運搬費用も必要です。リサイクル費は1500~5000円程度見ておけばよいですが、回収・運搬費用についてはまちまちなので、業者に確認しておくことをおすすめします。

特殊清掃が必要な場合もある

家族が部屋で孤独死してしまった場合などは、死臭や汚れが周辺に染み付きます。原状回復するには、特別な機材や薬剤を持つ業者に『特殊清掃』を依頼しなければならないでしょう。

特殊清掃を行う業者なら、『オゾンショックトリートメント法』と呼ばれるオゾンを使った効果的な消臭を行ってくれます。これは高密度のオゾンを大風量で循環させることで、部屋の消臭を効果的に行う方法です。素人には手に負えない状況だと判断したら、このような方法を取れる業者に清掃を依頼した方がよいでしょう。

遺品整理すべてを業者依頼も可能

住まいが遠方だったり遺品整理にかける時間が取れなかったりする場合は、遺品整理そのものを専門業者に依頼してもよいかもしれません。

高齢化が進み核家族化が進む現在、遺品整理をメインサービスに行う業者も増えています。このような業者に依頼すれば、遺品の分別や整理から不用品の売却・余分まですべて行ってくれます。素人なら数日かかる作業も、プロの手にかかれば数時間で終えることができるでしょう。

ただし、プロの手を借りるため、自力での遺品整理よりもかかる費用負担は大きくなります。料金は業者により異なりますが、例えば、3LDKほどの部屋なら17万円以上かかるケースが多いようです。遺品の量や物の種類によっても料金は変わるため、事前の見積りで正確な金額を把握する必要があります。

公式ブログなどで信頼性を確認できる

依頼する業者が信頼できるかどうかは、業者の公式ブログなどが判断材料となります。

遺品整理業は特別な資格が必要ないため、参入が容易です。悪質な業者に当たると作業後に想定外の金額を要求してきたり、著しく作業の質が低かったりといったトラブルが発生します。者を選ぶ際は口コミや実績等を確認し、信頼できる業者を選ばねばなりません。

遺品整理業者の中には、日々の業務をレポートしたり遺品整理のノウハウを記したりしたブログを持っているところもあります。このようなブログを確認すれば、業者の取り組みや仕事へのこだわり、姿勢を垣間見ることができるでしょう。

実家が空き家になったら早めに対処しよう

家族が亡くなり実家に住む人がいなくなった場合は、なるべく早く処分を検討しましょう。空き家にしておくことで防犯上のリスクが高くなるほか、税金面でも不利になる場合があります。

まずは空き家のデメリットについて確認してみましょう。

空き巣など犯罪被害のリスク

近年、高齢化によって空き家となった家を狙う空き巣が増えています。空き家の場合周囲の目が行き届かないため、実害が発覚するのはかなり後になってからというケースがほとんどでしょう。

また、空き家は犯罪者が潜伏したり、犯行現場に使われたりといったリスクも高くなります。空き家があるだけで周辺の雰囲気は悪くなり、治安の悪化が懸念されるでしょう。

固定資産税が増加する場合も

空き家を放置しておくと、固定資産税が増加するかもしれません。

空き家を解体せずに維持する人が多いのは、『住宅用地に対する課税標準の特例』があるためです。これまでは空き家を解体せずに住宅用地として維持することで固定資産税が軽減され、税の負担が少なくて済みました。

しかし、2015年に施行された『空き家等対策の推進に関する特別措置法』に基づき『特定空き家』と認められた場合、この固定資産税の優遇措置は消滅します。特に悪質と認められた場合は代執行によって空き家は解体撤去され、その費用も請求されるでしょう。

人が住まない家は傷みも早くなりますし、維持管理も大変です。良い状態で売れるうちに売ってしまった方が得策と言えるのではないでしょうか。

まとめ

遺品整理は故人の持ち物すべてに向き合わねばならないため、肉体的にも精神的にも辛い作業かもしれません。しかし、この作業こそが故人への思いを整理する絶好のチャンスともいえるでしょう。ただし、始めるタイミングや方法によっては他の相続人の反発を招く恐れもあるため、きちんと相談してから始めることをおすすめします。

自力での遺品整理も可能ですが、早く終わらせる必要がある人は専門業者に依頼するのもよい方法です。家に住む人がいなくなるなら、遺品整理と同時に家の売却手続きを進めるのもよいでしょう。