遺品整理の目的・手順など、スムーズに作業を進めるにはどうしたらいいでしょうか。いざ遺品の処分をするときの注意点や、遺品整理業者を利用するメリットも紹介しています。いつまでに終わらせるのが一般的なのか、疑問点を解決するヒントも見ていきましょう。
遺品整理の目的

遺品整理の目的は、主に遺産分割など亡くなった人の荷物整理をすることにあります。それ以外にも、気持ちの整理をつけたり、家や部屋を明け渡すことも目的です。
亡くなった人の状況によりますが、生活している以上何も持っていない人はほぼいません。多くの相続人は、故人が遺した遺品整理を行うことになります。
気持ちの整理
亡くなった人の遺品を片付けて処分すると、気持ちの整理もつきます。すべてをいつまでも残しておくより、大切な物だけ仕分けたほうがいつまでも思いを引きずらずに済むでしょう。
もちろん、大切な人が亡くなったばかりのときは気持ちの整理もついていないので、多少時間をかけて整理するのがベターでしょう。
遺産分割や形見分け
遺産の分割や形見分けのために、遺品整理をしたい人もいるでしょう。残された遺品が多く、親族では作業が難しい場合、遺品整理業者に依頼することも考えます。
遺産分割の段階で、明らかに不要な物は処分することもあるでしょう。1人の人間が日常生活で使っていた荷物は、意外と多いものです。そのため、大きな家財道具は業者に依頼すると、少し負担が減ることもあります。
部屋や家の明け渡し
今まで住んでいた家も、単身で住んでいた方が亡くなってしまっては、そのままにしておくことは難しいでしょう。誰もいない家は荒れ果ててしまいます。
賃貸物件の場合なら、家賃が発生するため早急に明け渡しが必要です。持ち家でも、家を売却して相続税を支払う、すぐに誰かが住む予定があるなどの場合は、期限内に片付けなければいけません。状況によっては、早めに遺品整理が必要です。
遺品整理の手順

遺品整理の手順は、遺品の仕分けからはじめまります。その後不要なものを処分し、清掃なども行いましょう。
コツとしては、普通の掃除のように仕分け・処分・清掃と3段階に分けて作業を行うことです。計画的に進めることで手早く片付きます。
形見や貴重品の仕分け
まず、家の中にあるものを仕分けましょう。不要な物の他に、形見分けとして残しておくものや、貴重品を分けます。
家電や家具は、分かりやすくノートなどに寸法とセットで書き出してみるのもおすすめです。何があるのか把握できれば、形見分けや処分のときにも役立ちます。洋服や雑貨類は、処分するものと遺族で分けるものに仕分けていきましょう。
貴重品は間違って捨ててしまわないよう、しっかり区別して保管します。書類や印鑑・通帳などは、相続の際に必要です。
特に貴重品はバラバラにならないよう、1箇所にまとめます。必要になったとき、どこにあるか把握するためにも大切です。
不要物の処分
必要な物を取り除いたら、不要物の処分を行います。
家庭ゴミとして捨てられるサイズの物なら、そのまま捨ててしまってもいいでしょう。回収の日にその場にいられない場合や、大型のゴミで持ち出しが難しいときは、ゴミ処理業者や遺品整理業者に任せましょう。
大型ゴミは自治体でも回収しているため、持ち込みできるときや回収日まで待てるなら利用すると、業者に依頼するより費用も安くなります。
室内の清掃
荷物の仕分けや処分が終わった後は、室内の清掃に取り掛かりましょう。賃貸の部屋を明け渡す場合は、清掃費が敷金でまかなえるかどうかで、別途費用がかかるか判断されます。
持ち家の場合は、急いで清掃する必要はないかもしれませんが、誰かが住む予定がある場合や、改装せずに売却するようなときは早めに掃除を済ませましょう。
遺品整理の注意点

遺品整理の注意点は、他の遺族と話し合いながら作業を進めることです。勝手に遺品を処分してしまうと、後からトラブルになることもあります。
また、大切な物だけを残し、不要物は処分することも検討しましょう。計画的に進めれば、時間の短縮にもつながります。
他の遺族の合意を取る
他の遺族の合意を取っていなければ、何らかのトラブルにつながるケースがあります。仲がよく、遺品も自由に処分してよいと合意を得ているなら問題ありませんが、物の価値は人によって変わるので注意しましょう。
受け取れると考えていた遺品が処分されてしまっていたら、他の遺族もいい気はしません。その人にとって、とても大切な物だと、揉め事が起きることにつながります。
遺産分割で揉めないためにも、遺品整理の前に全員と連絡をとっておきましょう。
大切な物を残す
まずは、遺産関係の物や貴重品など大切な物を仕分けして残しましょう。また、高価でないブランド品や服飾品などは、形見分けとして親族で分けることもできます。
すべて処分してしまってから、貴重品が混ざっていたと気づいても取り戻せません。特に、不用品をゴミとして処分する場合は、価値のある物や貴重品が入っていないか確認が必要です。
計画的に進める
遺品整理は、計画的に進めましょう。人が亡くなった後は、銀行や役所など手続きもいろいろあります。自分なりに期限を設定して、それまでに終わらせるよう取り組むことがおすすめです。
スムーズに手続きが進められるように、遺品の整理や処分は期限を決めます。どんな遺産があるかわからなければ、相続の手続きが進められないためです。しかし、気持ちの整理がつかないときに無理をする必要はありません。スケジュールを決めて、できるだけ一気に向き合うのもいいでしょう。
遺品整理の疑問点

遺品整理は、必ずいつまでに終わらせないといけないルールはありません。ただし、相続や部屋の明け渡しなど、期日が設けられている場合は、それまでに終わらせましょう。相続人には家の管理も任されます。
一軒家の場合は、放置しておくと家が傷んでしまうこともありますので、処分の困る空き家になる前に、整理を終わらせておいたほうがよいでしょう。
いつまでに終わらせるべき?
相続関係の手続きがある場合、本人が亡くなってから3カ月以内が1つのリミットです。相続放棄や限定承認をするか検討できる期間が3カ月のため、何らかの問題がありそうなら早めに着手しましょう。
また、相続税を納める期限は本人が亡くなってから原則10カ月以内です。遺産を相続するならそれまでに遺品も整理します。
ただし、相続放棄の可能性があるなら、遺品整理はできません。その場合は、事前に専門家に相談することをおすすめします。
遺品整理業者の利用のメリットデメリット
遺品整理業者を利用すれば、短時間かつスムーズに整理を進められます。気持ちの整理がついていない人でも、間に第三者を挟めば気が楽になるかもしれません。
また、遺品整理業者はゴミ処分や特殊清掃なども請け負っています。遺品の仕分けや清掃、処分までまとめてできることも魅力です。
ただし、デメリットとして、業者の選定を慎重にする必要があり、場合によっては料金が高額になることが挙げられます。自治体のゴミ処分とは料金が異なりますので、その点は留意しましょう。
まとめ
遺品整理は単なる荷物の片付けではなく、家の明け渡しや相続手続きを進めるために必要です。相続する遺産の見極めや、家の明け渡しがあるなら早めに終わらせましょう。
必要な物と処分する物を仕分けし、自分なりに期限を決めるなど計画的に進めていけば、それほど時間はかかりません。場合により、遺品整理業者に依頼することも検討しましょう。